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吼える月
第29章 変現
 
 

 ユウナの荒い息遣いが聞こえる中、ふたりの会話はなされない。

 サクがじっとユウナの顔を見つめており、その沈黙は、重くユウナにのしかかっている。


「……はぁ…はぁ…」

「………」


「……はぁ……」

「………」


「……ふ、……ふぇ……」


 なにも言われないのが逆にユウナには辛くて、泣き出してしまう。

 そんなユウナの頭をぽんぽんと軽く叩いて宥(なだ)めるようにしながらも、紡ぎ出すサクの言葉は容赦ない。


「イッたんですか、こんな程度で」


 その顔は、満足そうな笑みを顔に浮かべているのだけれど。


「……はしたないな。……ユウナ」


――サクはどう思うだろうね。父親の敵に濡れてしまうお前のことを。


「や……っ」


 指摘された内容と、逆転した立場を思い知らせるかのようなその言葉遣いに、恥ずかしくてサクから離れようとしたのだが、足がサクと絡まってしまい、サクから離れない。


「ふふふ、俺のせいじゃないですよ? 知ってますか? イク時に…俺の足に、姫様が足絡めさせてきたこと」


「……っ!?」



 ユウナは切ないままの秘部に刺激を求めて、サクの片足を挟み込むようにして、僅かに腰を動かしていたのだった。


 そしてそれは、今も続いている――。

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