この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第32章 多難
 
 


 一同見渡せども、一面砂漠の異世界。

 その中には輪郭があるものはなく、鈍色の曇天との端境までよく見える。

 イタチこと玄武を救う鍵となるものすべて、緋陵国は――その一切を、既に砂に埋めてしまっていた。



「なんで砂漠!? いつから砂漠!?」



 予想を大きく裏切られた現実を受け入れられないテオンが、弾かれたような甲高い声を出す。



「なになになに!? 蒼陵みたいに天変地異があったの!? 緋陵でも神獣が暴れてこうなったの!? ぅぅへええええええ!?」


 極度の驚愕と混乱の最中にあるテオンは、おかしな声を上げて走り、砂漠の中に足を踏み入れていく。いつもの倍速の早さで。


「あいつ……またか! テオン、待て!!」


 シバが珍しく焦った声を出して、見る見る間に小さくなるテオン追いかける。ユウナはその後ろ姿に声をかけた。


「シバ、"また"って!?」


 すると青い髪を翻しながら、シバは叫び返す。


「蒼陵で初めて巨大魚を吊り上げた時、その大きさに驚きすぎたあいつが、突然わめいて巨大魚の大きな口の中に入り込もうとしたんだ!」


「ぶっ!」


 ユウナの隣に立つサクが、思わず吹きだした。


「それ以降諸々、度を超えて驚きすぎると、わざわざ危険に飛び込む。飛び込むというか、危険を自ら呼ぶんだあいつは!」


 

/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ