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吼える月
第38章 艶宴
 
 ◇◇◇

 その場所は、魚の腸(はらわた)が腐ったような生臭い空気が立ちこめていた。さらには鉄の匂いも混ざり、悪臭この上ない。

 壁には、かろうじて息をする骸の如き男達が、四肢を枷に繋がれている。
 
 汚物に塗れた顔や肉体は削がれ抉られて欠損し、膿んだ傷口からは蛆が湧いているのもある。

 惨憺たる傷は致命傷ではなかった。
 男達は、生きながら肉体を失い、腐る運命を与えられているのだ。

 彼らの目は闇に澱んで濁りきり、救済への希望の光はなにもない。
 ただひたすら、虚無――。

 そんな部屋に、ふたりの女看守が入って来た。

「相変わらず、くっせぇな、この〝肥だめ〟は」

 鉄の鎧を着た短髪の粗野な女が、ぎゃはははと下品に笑うと、その横で同じ格好をしている上品そうな女が、長い髪を掻き上げながら残忍に笑う。

「それでも、あのケダモノ臭い体液が混ざった〝掃きだめ〟よりはマシでしょう」
「マシかあ? 掃きだめ担当の看守達は、囚人を使って遊べるんだぜ? 冷てぇ張形ではない生のブツの子種を、枯れた胎にたっぷりと注ぐことが……ぐひひひひ。なぁ、ヤグ。肥だめだって、新入りと遊ぶくらいならいいよな。ヨンガ様は殺すなとは言ったが、それ以外は言ってねぇし」
「まあ、その男は〝魔に輝けし者〟、〝光に穢れし者〟……名称は色々ありますが、倭陵での禁忌。人ではなき者。罪人の子を宿さぬように気をつけるのですよ、カルア。我ら緋陵の、誇り高き血を汚さぬよう」
 
 長髪の女――ヤグは、慈愛深い笑みを顔にたたえた。
 
「ひゃー、ヤグは話がわかる! よっしゃ、だったらヤグもその気になったら言えよ。こいつ、体力ありそうだから、根こそぎ搾り取ってやろうぜ」
「ふふふ、私は搾り取るよりも、切り落とす方が好きなんですけどね」
「わかったわかった。萎びて役立たずになったら、切り落とさせてやるから」

 短髪の女――カルアが、枷がついた四肢を壁に繋がれ、項垂れている男、シバに近づいた。
 そしてその前髪を鷲掴んで顔を上げさせる。
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