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吼える月
第10章 脆弱
サク――。
貴方に会えて本当によかった。
貴方といれて本当に楽しかった。
……ユマと幸せにね。
あたしと同じ顔だから"ユマは可愛いし"とは言いづらいけど、何でも良く出来てサクを一途に愛していて、ユマならあたし……サクを託せる。
貴方の子供見たかったわ。
きっと、小さいサクにそっくりなんでしょうね。
だってサクだって、ハンにそっくりだったもの。
それから……あたしの初めて作ったあの歪なおにぎり、食べてくれたんですってね、サラから聞きました。
お腹……壊さないといいなぁ……。
サク、本当に大好きだったよ。
今まで、あたしを護ってくれてありがとう。
あたしを生かしてくれてありがとう。
本当に感謝しています、口には出せなかったけれど。
だから今度は。
サクが生かしてくれた"あたし"で、サクを護りたい。
役立たずの姫だったけれど、生きている姫だからできることがある。
姫だから貴方を自由にしてあげられる。
それだけは、姫という身分に生まれついてよかったと思う。
いつまで姫なのかわからないから、まだかろうじて姫と呼ばれる"今"、決断しました。
サク、いつまでもお元気で。
今度は自分の幸せを第一に考えて生きて下さい。
護衛役だからとあたしに遠慮して、この先ユマを泣かせちゃだめだよ?
サクが天邪鬼なの、あたし知っているんだからね?
ユマを見る眼差し、正直ちょっと妬いちゃった。
ずっとずっと……ユマの傍で、素直に愛してあげてね。
お似合いだよ、サクとユマ。