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吼える月
第15章 手紙
「なにがあった!? 俺に力を譲った後、なにが起きた!? 危険な状況なら、どうして俺に力を渡したんだよ――っ!!」
ふわりとなにかが体にまとわりついた。
優しく暖かな……。
"サク、姫さんを守れよ"
「親父……っ」
"大丈夫よ、サク。私が……ずっとあのひとの傍にいるから。だから私もハンも寂しくない"
「お袋もかよ……っ」
間近に迫る地面。
「俺に……弟妹見せてくれるはずだったろ!?」
なんで、なんで――。
「親父――っ、お袋――っ!!!!」
"ここからはお前が……最強の玄武の武神将だ"
"どこにいても、どこまでも私達は見守っているわ"
声は小さくなる。
"頑張れよ、馬鹿息子"
"頑張って。姫様と幸せになるのよ"
ふたりの温もりは遠ざかって行く。