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吼える月
第16章 船上 ~第2部 青龍の章~
「あたしがサクの嫁……か」
「夢にされてなくてよかったです」
ユウナは慌てて頭をぶんぶんと横に振る。
「駄目だわ、こんなことばっかり考えていたらいけない。サクは普通にするって言っているのに、あたしまたサクを意識しすぎて、サクから逃げ出したら……サクが意地悪始めちゃうし」
「……そりゃその通り」
「しかし、女と浮いた噂もないほど女癖悪い奴ではなかったはずなのに、なんであんな意地悪始めるようになったのかしら。あたしを好きだっていうのなら、もっとこう……優しく出来ないのかしら」
「俺としては、すっげぇ優しく愛でてるんですけどね」
「嫌だわ、あたし。サクを意識しすぎて、さっきからサクの幻聴が聞こえてきちゃう。はぁ……サクの温もりが隣になくて寂しいなんて、サクに知られたら……絶対サク、隣にきていろいろ意地悪始めるんだわ」
「そりゃあ寂しいなんて可愛いこと言われたら、たまんねぇですからね」
「だけど困ったことに……、サクにあの意地悪されると、すごく気持ちよくなって、もっとという気分にもなってくるのよね。あたし……おかしいのかしら……」
「へぇ……もっと? それは初耳ですが」
「嫌だわ。このままだと本当に洗浄係とか治療係に任命しちゃいそう」
「そこまでお気に入りなんですか。それは嬉しいですね」
突如ぬぅっと下から現われたサクに、ユウナは驚いて悲鳴を上げる。