この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
吼える月
第16章 船上 ~第2部 青龍の章~ 
  



「姫様、俺を……使って下さい。俺のすべてを縛って下さい。名実ともに。俺は、姫様だけの武神将として生きたい」


「サク……」


 根気負けしそうになるユウナは、それでも必死に抗った。



「……だけどね」


「………」


「……あたし…」


 中々頷かないユウナに、業を煮やしたのはサクで。


「……あ゛~、もう」


 苛立たしげに頭をぼりぼり掻きながら、強い語気をユウナに向けた。


「俺がいいって言ってるんですから、姫様は素直に"はい、お願いします"と言えばいいんです。つーか、言え!!」

「……っ!?」


 ユウナの動きが、その命令口調に固まった。


「あ、すみませんね、つい本音が。……って、姫様!?」


 突如、ユウナが床に座り込んだからだ。


「そ、そんなに言い方恐かったんですか!? 怖がらせるつもりはまるで……って、は!?」


 ユウナは崩れたわけではなかった。


 サクの目の前にて、両手を床について座ったのだった。

 ……故意的に。



 そして言った。



「ふつつか者ですが、どうぞよろしくお願いします」



 少々ずれた表現だったが、それはユウナなりの…最大の感謝表現だった。


 姫が臣下に頭を下げるとは言語道断ではあるが、そんなことどうでもいいほどに、ユウナの方が……サクをどうしても欲しかった。

 諦めきれないのだ。

 ではいざ、サクを他に放つと考えると。

 他の元で武神将として活躍しているサクを考えると。


 サクの成長を間近で見たい自分がいる。

 一緒に成長していきたい自分がいる。


 サクが欲しい――。


 自分はサクに懇願される立場にはない。 

 自分こそがサクに懇願する立場なのだと、ユウナは考えたのだった。

/1627ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ