この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
吼える月
第16章 船上 ~第2部 青龍の章~
「サクの人生を縛っても、それでもあたしはサクが欲しい。サクを必要としている。……サクがあたしと儀式をして成功したとして、後で後悔しないように、あたしもあたしなりにできることを頑張ってみようと思う。
まだまだ、ただ…"目標"を口走っただけの無力な小娘だけれど、今のあたしにはなにももっていないけれど……それでも、あたしの武神将になって貰えますか?」
"あたしの武神将"
「あたしを、選んで貰えますか?」
ユウナのものに――。
「――勿論。そういってるでしょうが、初めから俺は。それが俺の願いだって」
サクは泣きそうになるのを堪えて、ユウナを抱きしめた。
「差し上げますよ、俺のすべて。だから存分に、味わって下さい。そうできるのは、姫様だけですから」
「サク……、ありが…とうっ」
まさか、こんな形で了承してくれるとは思わなかった。
ここまでして、求めてくれるとは思わなかった。
わかっている。
必要としてくれたのは、武神将としての自分だと言うこと。
それでもいいからと、懇願したのは自分――。
それでも。
それでも――。
"あたしの武神将"
離れることのない関係を、
自分はユウナだけのものだということを、
承知してくれたことは至上の喜悦。
これで自分は、なにがあってもユウナから離れることはなく。
命すらユウナのものになれるという悦びで、心が震えて溜まらない。
ああ――。
ユウナが愛おしすぎて、想いが零れそうだ。
口づけて、このまま抱いてしまいたいほどに。
愛おしい。
愛おしい。
唯一無二のこの主が、この姫が。
愛おしすぎてたまらない――。
「……ああ、くそっ!! 姫様が嫁にきてくれるみたいに、嬉しすぎるじゃねぇですか」
震えているのは声音なのか、心なのか……それすらサク自身、わからぬほどに。