この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
吼える月
第16章 船上 ~第2部 青龍の章~
『お前がこれを見ているということは、姫さんに了承を貰った後に姫さんから出された爆弾発言に、慌てふためいているということだな。
嫁でも貰う気分で浮かれて鼻の下伸ばしたお前には、いい刺激になったろう。その緊張感をいつも忘れるな』
そして最後に一行。
『武神将は主とも婚姻可』
手紙を持つサクの手がふるふると震えた。
「何年前から仕込んでやがった。
あんの、クソ親父――っ!!」
"あははははは。頑張れよ、馬鹿息子"
……どこかで、笑い上戸の父の声が聞こえた気がした。
それは、父が可愛い息子に残した――
最後の……愛に溢れた悪戯だった。