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吼える月
第16章 船上 ~第2部 青龍の章~ 
 





『お前がこれを見ているということは、姫さんに了承を貰った後に姫さんから出された爆弾発言に、慌てふためいているということだな。

嫁でも貰う気分で浮かれて鼻の下伸ばしたお前には、いい刺激になったろう。その緊張感をいつも忘れるな』



 そして最後に一行。






『武神将は主とも婚姻可』






 手紙を持つサクの手がふるふると震えた。




「何年前から仕込んでやがった。


あんの、クソ親父――っ!!」




 "あははははは。頑張れよ、馬鹿息子"


 ……どこかで、笑い上戸の父の声が聞こえた気がした。



 それは、父が可愛い息子に残した――

最後の……愛に溢れた悪戯だった。




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