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吼える月
第17章 船上2
「……ときめいたんですか?」
「当然でしょう、女の子だもの!!」
「俺の求愛より、求婚の方に?」
「求愛なんて口先でなんとでも言えるわ。だけどよ、よよよ嫁なんてね……普通簡単には言えないことでしょう!?」
「いや……好きだとか求愛も簡単には言えねぇんですけどね。つーか言えねぇから今までかかったんですがね」
「サクの事情なんて知らないわよ。とにかく、短くなった髪のあたしは、途端にサクから嫌われて冷たくされて振られて……っ、髪なんてほっとけゃ伸びるものなのに、そんな髪如きに"誰が可愛い女の子だ"、"嫁の貰い手なくなるぞ"、"誰がお前なんぞ嫁にするか"なんて言われれば……っ」
「ちょっと待て」
サクが難しそうな顔でユウナに待ったをかけた。
「俺、姫様に態度を変えたり、そんなことを言った覚えはないんですが」
「よく言うわよ……猿猿言ってたくせに!!」
「言ったのはあのガキんちょです。猿と言ったのはちょこまかして煩ぇからであって、それがなんで姫様に言ったことになるんです!?」
「髪が短いからそう言ったんでしょう!?」
「髪が短いって……なに関係あるんですか、それ!!」
「そんなのあたしが聞きたいわよ!!」
ユウナは、ばしんばしんとサクの胸を叩く。