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吼える月
第17章 船上2
「蜂蜜!! ん~美味しい」
サクが考えている間に、ユウナはサクの手を掴むと、舌を伸ばしてサクについた、とろりとした蜂蜜を舐めてしまった。
「ちょ、なにをしてるんですか、姫様!? これが毒だったらどうするんですか!!」
サクは慌てて手を引き、傍の布で拭いた。
惚れた女に身体を舐められるということに、動揺を隠せない。
「あら、毒だったらサクが真っ先に反応してるでしょう? 蜂蜜をひとりで舐めるのなんてずるいわ。あたしだって蜂蜜大好きなんだもの。すごく美味しい。あたしが玄武殿で食べたものより、ずっとずっと!! もっと舐めた……」
おねだりをはじめたユウナは、まだ横になったままのサクの首元を見て声を上げた。
「サク。蜂蜜、首のところの蜂蜜が!! 垂れる、垂れちゃう! 勿体ない、蜂蜜は黒陵でも貴重なものなのよ!?」
「いっ!?」
拭き取るのも勿体ないと判断したユウナは、そのまま舌を伸ばして……サクの首筋にぶちまけられた蜂蜜を、全て舌で掬い取るという荒技に出たのだった。
「姫様……っ!?」
ユウナが寄り添うようにして横たわり、サクに抱きついて肌を愛撫している――。
そう錯覚してしまったサクは、突き放せずに……呼吸を乱した。
毒ではない。
毒ではないのだから――。
「蜂蜜が……ああ、あたしにもついちゃった……っ。服がああ、勿体ない。……っと、サクの首からまた垂れるっ」
一心に舌を這わせるユウナが可愛くて。
ユウナの細く悩ましいうなじに魅せられて。
サクの揺れる瞳が細められる。
なにが髪の短い女は女ではない、だ。
こんなに女を強調させやがって――。
だが自分に嫌われたと勘違いをして、勝手に傷ついていたらしいユウナが可愛くて。
可愛すぎて、身体が熱くなる――。