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吼える月
第17章 船上2
「え? また冗談……でしょう?」
「冗談ではありません。姫様……。姫様を気持ちよくさせるだけです。発作の治療と同じ。睦み合うわけではない」
どんなに睦み合いたくとも、やはりそれは許されない。
「………っ」
ユウナの瞳が揺れた。
「嫌なら、そのまま我慢しているしかありません。いつ切れるかわからぬ、時間を待って。恐らく今、姫様の身体は……」
サクがユウナの頬に手を置いた。
「はぅ……っ」
それだけでユウナは喘ぎ、白い喉もとをさらけだす。
艶めかしい色気を放ちながら。
「もう辛いのでしょう? 身体が震えている」
サクは頬に手を置いたまま、目を細めながら淡々と言った。
「俺だけなら……どんなに苦しかろうと必死に我慢しますが、姫様が苦しむのは俺は耐えがたい」
「サクも……媚薬の効果、出てるの?」
荒くなり始めたユウナの呼吸。
それが顔で感じられる距離にて、サクはただ微笑んだ。
「俺はいいんです……。姫様が悦ぶ姿こそが、俺の悦びですから」
やるせなさそうな顔で。
頬に置いた手の指を僅かに動かすだけで、ユウナの表情が女のものとなる。きつく抱きしめ、唇を落として愛でたい男の情をぐっと堪え、ただサクはユウナを怖がらせまいと温和に笑い続けた。