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吼える月
第17章 船上2
「媚薬の種や量によっては、時間を追うにつれて幻覚症状が現われて錯乱し、絶叫をあげて悶え苦しむものがあります。この媚薬はどうなのか、それは俺でもわかりません」
「そんな……」
サクは……大量の媚薬を飲んでも果てられないために、その効果が抜けるまでにかなり苦しんだ。
丸3日――。
摂取した媚薬の量が大量すぎて精神を蝕み、ひとを殺める前に、警備兵の独房に密やかにひとりで入り、四肢を枷につけて身動きできなくして、薬が切れる時間まで、暴れながら過ごした。
本能を刺激されて情欲を煽られ続け……身体がその捌け口を見いだせねば、ただ身体を内部から逆流して破壊するものとなりえる。
サクは心身共に鍛え上げた武人だ。
だが、玄武殿という温床にて純粋培養されたユウナは違う。
媚薬の効果が盛大に出始めたら、あの苦しみに耐えられるか。
否――、耐えさせるではなく、苦しませたくなかった。
だとすれば、今とれるべき手段はひとつ――。
サクは静かに息を吸うと、真摯な顔でユウナに言った。
「俺が……治療致しましょう」
自分が、ユウナの身体を満たせばいい。