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吼える月
第17章 船上2
  

「……っ」


 ユウナの瞳に、屈辱に耐えようとする薄い膜が出来た。

 サクを詰れないのは、己の欲に苛まされているからだった。


 こんな恥ずかしい格好は嫌なのに、もっと刺激が欲しくて。

 もっと刺激をくれるなら、もっと恥ずかしい格好をしてもいい――。


 本能と理性の狭間で揺れるのは、矛盾。


 付け根に刺激が加われば気持ちよくなれると、そう教えてくれたのはサクなのに、そのサクが刺激をくれないのが恨めしくて。

 こんな淫らな格好をしているのに、無視されるのが辛くて。


 矛盾を抱えたまま、ユウナの足は頼りなげに震え続ける。


「サク……恥ずかしいっ、ねぇ、この格好…恥ずかしいの……っ」


 だから早く、刺激が欲しいと。


「この格好? それは姫様がこんなに両足を開いて、日頃隠している部分を俺に見せつけようとしている格好のことで?」


 ユウナの顔は羞恥にさらに赤くなる。


「サク、焦らさないで。ねぇ、恥ずかしいのっ」

「焦らす? なんのことでしょうかね」


 あくまでシラを切るサクは、頭をもぞもぞと動かしながら、太腿と下着の端境に舌を這わせた。

 そして挑発的な上目遣いを、ユウナに見せる。


「あ……ああんっ、サク、恥ずか……あああっ」

「俺には、もっとと……せがまれているように思えるんですがね?」


 絶妙なひと筋を攻めた後、またもや焦らすように、その横の内股に吸い付く。

 自由自在に動くのに、その舌はユウナが欲しい場所だけは近づかない。


 もっと刺激が欲しい。

 もっと、足の付け根に。


 渇望に……気が狂いそうだ。

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