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吼える月
第17章 船上2
「………っ」
サクが投石のように落とした吐息は、波紋状にユウナの身体の隅々まで拡がり、やがてそれは波をたててユウナの胸の中心に返ってくる。
ふたりの…擬似的に結合した燃えるように熱い部分を中心に、甘く疼く…情欲に過熱し続ける波が、次々と――。
その熱量に耐えきれないというように、ユウナは苦しげな細い息をひとつ返せば、サクの顔が僅かに曇る。
「……嫌?」
決して強行をしないサクは、憂えた顔を斜めに傾けながら、真っ赤な顔でなにかを訴えたそうにしているユウナの髪を、腕枕をしている手で優しく弄って尋ねた。
「…………お」
「お?」
見つめ合う、熱い瞳が……揺れる。
やがてユウナは身じろぎして――
「……お願い…シマス……」
サクの首に両手を回した。
真摯な視線を向け続けるサクから、熱に溶けそうな己の顔を隠すように、その逞しい身体に伏せながら。
ユウナの胸は、壊れるかと思うほどに動悸が激しい。
耳をつけているサクの胸からも、同じくらい早い鼓動がなされていることに気づく余裕もなく。
自らが動いたことでより密着した際に聞こえた、ぬちゃりとした音がなにを示すかわかっただけに、媚薬で曇り始めた羞恥心よりも、そこから強まる疼きをなんとかして貰いたくてしかたがなかった。
精一杯の勇気を振り絞ったのに、サクは動かない。
なにも言わない。
戸惑ってその顔を上げて、サクを盗み見てみれば――。