この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
吼える月
第17章 船上2
触れあうだけで蕩けてしまうようなこの直の感触を、きっと前から願っていたはずなのに、その実感を確かめるために自ら動いていいのか妙に躊躇う。実行に移そうとすると、妙に身体が強張る。
ふたりとも、秘部同士触れあっているのは決して嫌ではないのに、むしろ甘く痺れる感触に快感を覚えていて、その先にある刺激を相手にせがんでいいのか躊躇していた――。
挿入して繋がるという終着点が選択肢として用意されていない今、この先として思い描いているのが、きっとふたりで気持ちよくなれる方法と、本能はわかってはいても、この行為を続けることがはたして許されるのかどうか、不安に思う心が積極的な行動を押さえる。
どうすればいいのかわからない。
動いていいのか、動かない方がいいのか。
この密着を解かねばならないのか、このまま維持してもいいのか。
……身体は、相手を求めていることがはっきりわかっていても。
息が苦しい。
ふたりはただ、攣ったような息をしながら、無言で相手の顔を見つめていた。
とろりと、欲情した顔で。
急いた興奮を、相手に伝えながら。
いつしか、一方的に掴んでいたサクの手がユウナの手から解けた。
やがて――。
諦観のようなため息を零したサクは、片手をユウナの腰に回して、もう片方の腕にユウナの頭を乗せ、腕枕をして添い寝をしているような体勢にした。
「……恐くないですか?」
サクがかけた言葉は、ねぎらうものだった。
心配そうに憂えるその瞳に、ユウナの胸はきゅんと鳴る。
「恐くない」
「よかった」
サクの切なげな眼差しが甘さを見せ、優しげな微笑みを向けた。
そして、顔からは笑みは消え、ただ切ないだけの色が残り。
もどかしいようにユウナの腰をまさぐるサクは、震える声を出した。
「……姫様」
「ん……?」
ユウナもまた、震えた声で呼応する。
「……入れません。入れませんが……姫様」
サクは、艶めいたその目を細めて、唇から熱い息を落とす。
「姫様がよければ、このまま……繋がったような形で、擦り合わせて……、気持ちよくなっていいですか? ……姫様と二人で」