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吼える月
第21章 信愛
「……嫌? 俺とはもう、したくねぇですか?」
サクの甘えるような哀しげな声は、艶が滲んでユウナの鼓動を早める。
拒まないのを知りながらあえて聞く、確信犯的なこの物言いは、ずるいと思う。
「べ……別に、もうしたくないわけではないわ。サクがしてくれるの……そ、その……き、気持ちいいし。ただサクが意地悪なことを言うから……」
自分の両手の人差し指同士を突きあうようにして、もそもそと答えたユウナ。その答えに、サクは怪訝な顔をして暫し考え、そして言った。
「したくないのかって聞いたのは、忠誠の儀のことなんですがね?」
「えっ!?」
睦み合いのことかと思ったユウナは、あまりの恥ずかしさに真っ赤になって逃げだそうとしたが、サクの手が許さない。
「あははは、姫様。そうか、気持ちよくてまた俺としたいんですね?」
「ち、違……っ」
耳もとに、艶っぽい声で聞かれる。
「違う? 俺の姫様の愛し方、姫様はお気に召しませんか?」
揺れる髪を耳にかけられて。
「もっと情熱的に攻めましょうか。これでも手加減しているんです、俺の愛で姫様が壊れてしまわないように……」
露わになった耳に、ふぅっと熱い息をかけられた。
「姫様を壊すほど、思いきり愛してもいいですか?」
耳がサクに侵蝕される――。
「こうやって、隅々まで。……ねっとりと」
ぬるりとした舌が、ユウナの耳の穴にねじ込まれた。
「ひぃぃぃぃぃっ」
突如なされたぞわぞわとした刺激に、ユウナが飛び上がって逃げ出そうとするが、サクは素早くユウナの片腕を掴んで引き寄せながら、腹を抱えて笑い転げた。