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吼える月
第21章 信愛
「姫様、可愛い。たまんねぇです、俺も」
泣き出しそうな声音を響かせながら、サクの舌がユウナの耳の穴にねじ込まれた。念入りに、抜き差しを深めていく――。
それは、男としてのささやかな自己主張だった。
……そこに行き着けない現状の憂いを漂わせながら。
だがユウナは、その主張を感じ取ることが出来ず、果てた余韻に身体を奮わせながら、さらに加えられる快感の波に、嬌声を上げ続けた。
サクの熱い息が耳にかかり、びちゃびちゃ聞こえているのがどこからなのかもわからない。
「……ねぇ、姫様。もっと姫様を触りてぇ」
首筋に這われる舌。
請うような掠れた声が、サクの欲情の大きさを物語った。
「もっと……?」
果ての名残が抜けぬユウナは、微睡むような表情を返す。
「感触だけじゃなく」
サクが突きだして見せた舌がくねくねと淫らに動く。
「舐めてぇんです……」
熱に蕩けた眼差しを絡め合いながら、まるでそれが至宝の食物であるかのように吸い寄せられていくユウナは気づかない。
サクが頭上に、脱ぎ捨てた衣服を丸めて置いたことを。
そしてユウナが顔を傾けて、その舌に顔を近づけさせた瞬間、扇情的な顔のまま、サクはその舌でユウナの唇を舐めた。
「やや、あああ、あ……ぁあああああっ」
弾けたような嬌声と共に、ユウナが反り返るように退く。
それは接吻ではなくただ舐めただけなのだが、ユウナはびくびくと震えて官能的な表情で身を強張らせた。