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吼える月
第21章 信愛

 

「……っ」


 初めて名前を呼び捨てにされ、男らしい口調で愛を告げられたユウナが、びくりと身体を震わせ、身体を伸ばすようにして身じろぎをする。


「今は俺を見るな。俺の……独り言だから」



 ユウナがこちらを向いて自分の顔を見ようとしているのがわかり、サクはそれをさせまいと、体勢を固定するようにさらに強く上から抱きついた。



「本当はリュカに渡したくなかった。本当はリュカと結婚させたくなかった。毎日が辛くて辛くて……だから今」


 熱い息をユウナの首筋に吹きかけ、


「俺の腕の中にお前がいることが、幸せなんだ」


 そこに熱い唇を押し当てる。


「お前だけの武神将となれて、こうしてお前を抱きしめられて。俺に感じるお前がいるのが、俺を求めてくれるお前の女の顔を見るのが……。

――嬉しくてたまらねぇ。不謹慎だとは思うけれど」


 何度も何度も。まるで愛の刻印のように――。



「あまりにお前を求めて、この…熱く焦げついちまってる胸の内をお前に見せられたらと思う。

……なぁ、ユウナ。俺、お前が思っている以上に、お前が愛おしくてたまらねぇんだよ。お前を……誰にも渡したくねぇんだよ。お前のすべてを俺のものにしてぇ……」


 サクのねっとりとした舌が、ゆっくりとユウナの耳殻を愛撫する。


「今は……お前が求めるのは俺の身体だけでもいい。だがそれだけでは終わらせたくねぇ。なぁ、他の男に…こんなことさせるなよ。そんな可愛い顔で喘ぐなよ、あんなに蜜を溢れさせるな。……俺だけだぞ? ユウナ、俺だけだぞ!?」

 命令口調の哀願と耳から与えられる刺激に、心身共に震えるユウナをまた強く抱きしめ直しながら、サクは衣擦れの音を響かせて、下衣を脱いでいく――。
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