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吼える月
第21章 信愛
ああ、たまらねぇ……。
サクは噎せ返るユウナの蜜の香りに、意識が朦朧としていた。
ユウナは既に身体を支える腕の力はなく。下に敷いた服をぎゅっと握りしめながら、額を擦りつけるように頭を垂らし、高く上げた尻だけを妖しげに揺らしている。
そんなユウナに潜り込んでいるサクは、ユウナしかいない世界にいれるのが幸せでたまらなかった。
誘うようにさざめく花弁を唇で挟んでひっぱったり、秘園から滴るとろみある蜜を舌で掬っては、それをなすりつけるように、小刻みに舌を動かしたり。都度反応するユウナに愛おしさが募ってしかたがない。
こんなになったのは、自分を求めているからと告げたユウナが愛おしい。それをなかったことにはしたくない。
たとえイタチの力の影響があったとしても、ユウナの心が少しでも自分にあったのだと信じたい。
むしゃぶるような口淫に切り替える。
自分の想いをぶつけるような情熱的な愛撫に。
諦めようとしても諦められず、いまだ執拗に愛を求める自分は、滑稽なのかもしれない。だが、それでもやはり自分はユウナ以外はいらない。
清廉でだけど魔性のように妖艶で。初々しく見えて淫らで。
こんな姿、ユウナを娶ろうとしたリュカですら見ていないだろう。
自分だけが。
自分だけが――。
「ああ、姫様、姫様――っ」
サクの愛はユウナには激しい愛撫となった。
逃れようとも逃れられない、快感の坩堝に囚われそうで。
正気を無くしそうで。
「サク……っ」
ユウナがブルブル震えて、悲痛な声を出した。
「サク、サクっ、ぎゅっとしたい、見えないの嫌。帰ってきて。サク、サクがいないの嫌、サクとずっと一緒なの、ぎゅっとしあいたい、サク――っ」
サクは切羽詰まったその顔を、苦悶に歪め……、そしてユウナの股から顔をどけると、うつぶせのユウナに上から覆い被さるようにして、強く抱きしめた。
「好きです……」
サクの声が切なく揺れた。
「押しつけたり追い詰める気は、まったくねぇんです。だけど言わずにいられない。……今だけ、臣下あるまじき無礼を許して」
サクは頬をユウナの髪に擦り付けながら、熱が滲むため息を、ユウナの耳もとで零した。
「お前が好きだ、ユウナ――」