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吼える月
第23章 分離
その自覚はまだまだ芽吹いたばかりの小さなものだけれど、それでもようやく彷徨っていた心が落ち着いたような、そして行き着けたという感動に心が奮えた。
「好きなのね、あたしは。幼馴染みとしても従僕としてもサクが好きで、それ以上にあたしは、女としてサクを…、男のサクを必要としてる」
――俺を……選んで欲しかったです。俺は、姫様の夫に……選ばれたかった……っ。姫様を幸せにすると……あの場で俺が誓いたかった。
サク、サク……。
あなたに、早く伝えたい――。
――……俺、姫様が好きです。嫁にしたい気持ちは、変わっていません。昔からずっと……。
待たせて、ごめんなさいって……。
あたしも、昔からサクが好きだって。
あなたを選ばずに傷つけてしまったあたしを、許してくれる?
あなたは……、あたしの気持ちを、喜んでくれる?
早く、会いたい。
会いたいよ、サク――。
ユウナの目からぽろぽろと涙が零れ落ちた。