この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
吼える月
第24章 残像
・
・
・
・
テオンの長いため息が響き渡る。
「――ということで、お兄さんの視力を信じて、さらに火がついている奥ふたつは"傷"と"合"、"休"と"天"。
つまり、前から5つまでの燈篭に書かれた古代文字について言えば。
燈篭に灯がついているのは、"開"と"地"、"蛇"と"生"、"傷"と"合"、"休"と"天"であり、燈篭に灯がついていないのは、"休"と"地"か」
そしてテオンは腕組みをして首を傾げた。
「"地"と"休"は、双方に共通なのに、"休"と"地"というものは火がついていないところに属すの?」
「字の組み合わせが関係あるのか? それとも意味? 地が開くと火がついて、地が休むと火が消える? だけど天が休むと火がついて、蛇が生きたり、傷が合えば火がつく……なんだそりゃ」
同時にサクが大きく首を傾げ、ふたりは同じ方向にぐらりと傾き、テオンがずり落ちそうになる。
「お兄さん、しっかり支えてよ!! 僕はお兄さんの頭脳なんだよ」
「あ、ああ悪い」
サクの首を掴んでよじ登るようにして定位置についたテオン。
「なあテオン、"蛇"という字が出たということは、やはり青龍のことがヒントにならねぇか?」
「お兄さん、青龍は蛇じゃないよ、龍!!」
「えー、だけどにょろ……」
「蛇みたいなにょろにょろ表現で、俗物にしないでよ。蒼陵を鎮護する聖なる神獣だよ、神獣!! 玄武をカチカチ亀だのカクカク亀だの言うのと同じだよ? 玄武の武神将として、それは許しがたいでしょう!?」
賛同を得ようとした例え話だが、サクの反応は鈍かった。