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甘く、深く、繋がって
第2章 遭遇
驚いて振り向いて、すぐ目の前にある柔らかな笑顔に息を飲んだ。
その目が優しく弧を描く。
「詰めて?」
「あ……はい」
言われるままに奥に身体を滑らせると、彼が隣に乗り込んできた。

バンと音を立ててドアが閉まる。

「お客さん、どちらまで?」
運転手さんが聞いている。
「……」
「……」
「お客さん?」
色々立て直せなくて応えられずにいたら、重ねて声を掛けられた。
「……家何処?」
私を覗き込む薄茶の瞳に吸い寄せられて、私は自分の住所を告げていた。
タクシーが無線を交わして走りだす。

「うちの近くだ」
「……え?」
聞き返した私に彼がニコリと微笑んだ。
「近くにコンビニあるでしょ?」
「はい」
「その裏」
「……」

コンビニの裏は三階建てのデザイナーズマンション。ワンルーム、ではない。

「お一人で住んでるんですか?」
「いや、兄貴と一緒」
「お兄さん?」
「うん。でも今長期出張中だから、実質一人」
クスッと笑ったその目が急に艶を帯びた。
「うち、来る?」
「へ?」
「足、そのままじゃ歩けないでしょ?テーピングしてあげる」
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