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甘く、深く、繋がって
第10章 戻れない日常
黒田さんには少し迷って、やっぱり返信はしないことにした。仕事のメールじゃないし、返信する義務はない。
本当は着信拒否にしてしまいたい。でも仕事の電話を受ける可能性を否定できなくて、さすがにそれは難しい。
私も課長に頼んで仕事用の携帯準備してもらおうかな……一応、営業だし?それでこっちを着信拒否にしたら迷惑してるって黒田さんに分かってもらえる、よね?
はぁ、とため息を吐いてトイレへ向かった。
ここは色んなオフィスの集合ビル。社内へ入る扉にはその会社のセキュリティパスが必要だけど、トイレのフロアへは違う会社のパスでも出入り出来る。結システムで働く女性は私ともう一人、総務の田中さんだけ。上下のフロアの混雑時には利用しに来る人も少なくない。
今も、三人で話す楽しそうな声が聞こえて来た。
「……なんだってぇ」
「嘘ぉ、ショックー」
またずいぶんと賑やかだなぁ……
誰かの噂話?
聞き耳を立てる気はないけれど、キャラキャラと弾む声は自然と耳に入って来る。
「えぇ?じゃあたっくんは?」
「まだフリーでしょ?」
「彼女作らないって言ってたよ?」
「えぇっ何で?」
「女の子はセックス出来ればそれで良いんだって」
……やだなぁ
本当は着信拒否にしてしまいたい。でも仕事の電話を受ける可能性を否定できなくて、さすがにそれは難しい。
私も課長に頼んで仕事用の携帯準備してもらおうかな……一応、営業だし?それでこっちを着信拒否にしたら迷惑してるって黒田さんに分かってもらえる、よね?
はぁ、とため息を吐いてトイレへ向かった。
ここは色んなオフィスの集合ビル。社内へ入る扉にはその会社のセキュリティパスが必要だけど、トイレのフロアへは違う会社のパスでも出入り出来る。結システムで働く女性は私ともう一人、総務の田中さんだけ。上下のフロアの混雑時には利用しに来る人も少なくない。
今も、三人で話す楽しそうな声が聞こえて来た。
「……なんだってぇ」
「嘘ぉ、ショックー」
またずいぶんと賑やかだなぁ……
誰かの噂話?
聞き耳を立てる気はないけれど、キャラキャラと弾む声は自然と耳に入って来る。
「えぇ?じゃあたっくんは?」
「まだフリーでしょ?」
「彼女作らないって言ってたよ?」
「えぇっ何で?」
「女の子はセックス出来ればそれで良いんだって」
……やだなぁ