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甘く、深く、繋がって
第10章 戻れない日常
「いただきます」
「召し上がれ。熱いから気を付けて」
「はい」
スプーンに掬って息を吹き掛ける。一口含んで……

あ、美味しい。

お出汁の薫りとほんのり効いた梅干しの塩加減。柔らかい鶏肉にほんの少しだけ芯の残ったお米。プチプチとした噛みごたえが良いアクセント。卵本来の濃厚な甘さも美味しくて

「美味しいです」
感想を伝えようと横を向いた瞬間、チュッと唇を奪われた。

っ!

「美味しい?よく分かんなかったから、もいっかい」
首を傾げてニッコリ笑う。至近距離での甘やかな笑顔につい見惚れて固まって、また唇が重なった。
「んっ……ふぅ、ん」
髪を梳くように後ろ頭に回された右手に逃げ場を押えられる。躊躇いなく滑り込んできた舌に口の中をなぞられて

ん……ぁっ……
気持ち、い……

斎藤さんはそこそこ深く私と交わり、ゆっくり身体を引いた。
ふわふわする。
ボーッと見上げる先で斎藤さんが薄い唇をペロッと舐めた。赤い舌にゾクリとする。
「うん、美味しい」
ニッと笑うその瞳は艶やかで

えーっと……味見、されたのは雑炊、だよね?

勘違いしそうになる。
「食べよ?」
私を覗き込むの笑顔は優しい。でも...
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