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甘く、深く、繋がって
第10章 戻れない日常
斎藤さんの瞳には捕食者を思わせる緋の色がちらついているようで、心臓がドキドキする。
「……あっ、はい」
囚われそうで、慌ててテーブルに向き直った。お椀に手を添え、雑炊をスプーンに掬う。息を吹き掛けながら、斎藤さんの方を見ないように黙々と食べていると
「可愛いね」
斎藤さんが身体を寄せて来た。するりと右腕を腰に廻されて、左側が斎藤さんと密着する。
「あっあの……」
「そんなに美味しい?」
覗き込んでくる目じりの垂れた優しい眼差し。その纏う甘さにドキッとした。
「お、美味しい、です」
頷いた私にまたキスをする。身体をこちらに向けたと思ったら、左手がお腹の前を横切った。私の骨盤の上で手を組んで、腕の中に私を囲う。
「ねぇ、うちに越しておいで。俺帰り遅いから一緒には食べられないけど、もれなく毎日作っておいてあげる」

うっ……

艶を増していく瞳に息をのんだ。心臓が破裂しそうにバクバクしてる。

だめ、保たない
壊れちゃう……

「今ならお弁当も付けてあげるけど?」
小首を傾げて下から覗き込まれて私のドキドキは最高潮。息をするのもままならない。
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