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甘く、深く、繋がって
第3章 再会
目に入ったのは白いサロンとコックコート、赤いタイ。伝票を持つ引き締まった腕。
そろそろと見上げた先に、甘やかなシンメトリー。

ドクンと心臓が大きく跳ねた。

真っ直ぐ私を見下ろす優しい瞳。

「ぁ……さいとー、さん」
私の呟きに斎藤さんは少し目を大きくした。
「覚えててくれたんだ」
そう言ってニッコリ笑う。
「ありがとう」
「あ、いえ、あの……こちらこそ、先日はお世話になりました。なかなかお礼にも伺えず……」
一気に心臓が加速して、頬が熱くなる。わたわたと取り乱しながら頭を下げた。
そして、顔を上げられない。
「もう足、大丈夫?」
「は、はい。お陰さまで」
「そう、良かった」
柔らかくなった口調に、斎藤さんが微笑んでくれたのが分かった。
「メニュー、決まった?」
「ぃえ、まだ……」
スイッと上体を倒し、斎藤さんが顔を寄せてくる。ふわりと届いたのはキッチンの匂い。
「特別メニュー、出してあげようか?」
「……え?」
思わず振り向いて、間近に迫る甘い視線に囚われた。
「ウニのクリームパスタ、次の新作」
「美味しそう……」
「うん、自信ある。ね、気に入ったら、名前……教えて?」
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