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甘く、深く、繋がって
第12章 軋む心
当然の様に隣に並び電車を待つみゆき。
こいつの性格は歪んでる。
夏の最中、突然『グラン・ブルー』が掲載された雑誌を手に、何年も前の関係を持ち出して地元を出て来やがった。
やっかいな、ストーカー。
電車の中、親しげに話し掛けてくる。
周囲の乗客からの不審の目を気にも止めず、俺は一言もみゆきに返さず窓の外を見ていた。
最寄り駅近く、真純のワンルームマンションが見える場所がある。気付いたのは最近。通るとつい部屋の灯りを確認してしまう。
寝てんのか……
暗い窓から視線を逸らすとみゆきがじっと俺を見ていた。
構う事なくホームに降りた俺に当然の様に付いてくる。
「お前さあ、どこまで俺に迷惑かけんの?」
「嫌ぁね。私の駅もここ。西口の駅近マンションに住んでるの」
嫌な予感的中
ニコリと笑うその顔は世間一般的には美人の類。でも俺には醜い魔女にしか見えない。得体が知れない。
「あっそ」
切り捨てて、改札を抜け
「じゃあ、またね。拓真」
みゆきに腕を掴まれた。またはないと告げようと振り返った瞬間、唇が重なった。
まとわりつく甘ったるい香り。ヌルリと侵食されて悪寒が走る。
こいつの性格は歪んでる。
夏の最中、突然『グラン・ブルー』が掲載された雑誌を手に、何年も前の関係を持ち出して地元を出て来やがった。
やっかいな、ストーカー。
電車の中、親しげに話し掛けてくる。
周囲の乗客からの不審の目を気にも止めず、俺は一言もみゆきに返さず窓の外を見ていた。
最寄り駅近く、真純のワンルームマンションが見える場所がある。気付いたのは最近。通るとつい部屋の灯りを確認してしまう。
寝てんのか……
暗い窓から視線を逸らすとみゆきがじっと俺を見ていた。
構う事なくホームに降りた俺に当然の様に付いてくる。
「お前さあ、どこまで俺に迷惑かけんの?」
「嫌ぁね。私の駅もここ。西口の駅近マンションに住んでるの」
嫌な予感的中
ニコリと笑うその顔は世間一般的には美人の類。でも俺には醜い魔女にしか見えない。得体が知れない。
「あっそ」
切り捨てて、改札を抜け
「じゃあ、またね。拓真」
みゆきに腕を掴まれた。またはないと告げようと振り返った瞬間、唇が重なった。
まとわりつく甘ったるい香り。ヌルリと侵食されて悪寒が走る。