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甘く、深く、繋がって
第13章 苦い惑い
エントランスを抜け、エレベーターに乗って部屋の前へ。
「上がる?」
「ううん。もう遅いから、大丈夫」
そう言ってはるちゃんはもう一度ギュッと抱き締めてくれた。
「真純、何時でもうちに泊りにおいで。お父さんもお母さんももういない。私には真純だけ。真純にも私だけ。二人で一緒に暮らすのもきっと、楽しいよ?」
「……うん。ありがとう」

はるちゃんやっぱり暖かい。
……でも、ね

「話したくなったら、時間なんて気にせずいつでも電話掛けておいで?仕事の時は、必ず後で掛け直すから」
「……うん」
「たった二人の姉妹だもの。助け合って、生きていこうね」
「うん……って、壮ちゃんのこと忘れてない?」
腕の中から見上げるとはるちゃんがあからさまに嫌そうな顔をした。
「えぇー、壮助遊び歩いて何処にいるか分かんないし、あいつは良いよ」
壮ちゃんとはるちゃんは双子の兄妹。私の大事なお兄ちゃんとお姉ちゃん。
「……何処にいるか、はるちゃんにも分かんないの?」
「知らない」
壮ちゃんはお医者さん。遊んでるんじゃなくて僻地医療に携わっている。請われるままにあちこちの診療所を廻ってるらしいけど……はるちゃんが知らないのに私に分かるはずがない。
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