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第13章 苦い惑い

「なぁに、はるちゃん」
「ホントに一緒に住まない？」
「……住まない」

私が行くと、壮ちゃんの帰る場所がなくなっちゃうでしょ？

「……そっか」
「うん。……昨日、今日とありがとう」
「……うん」

また、心配掛けちゃった。
ごめんね。



はるちゃんが帰って切なくなった。

はるちゃんと壮ちゃん、お互い素直になれば良いのに。
ずっと傍で見てた訳じゃないけれど、二人はすごく仲が良い。羨ましいと思ってた……

人を愛するって難しい。
ただ『好きだから一緒にいたい』じゃ居られない。

でも私には壮ちゃんみたいに身を退くことも、はるちゃんみたいに見守ることも、どちらも出来ない。

好きな人には傍にいてほしい。愛されてるって実感していたい……
そんな風に焦るから、身体だけになっちゃうのかなぁ……

斎藤さんとだって、話したいって思ってたのに先にエッチしちゃって……結局話せてない
でも……斎藤さんは、大丈夫。大事にしてもらってるって、思えてた……

思えてたって……過去形なの？
今も思ってる。思っていたい
でも……

『口説く時の常套句だから』

…………


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