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甘く、深く、繋がって
第13章 苦い惑い
斎藤さんに会ったら、会ってギュッてしてもらえたらこの不安な感じは落ち着くのかな……

しくしく痛む胸を抱えたまま鞄から充電の切れた携帯を取り出した。今朝、アラームが鳴らなくて、真っ暗な携帯に気が付いた。でも電源を入れるのが怖くて充電器を借りられなかった。
未だ画面は黙したまま。

充電器と繋いではぁと大きく息を吐く。じっと携帯を見つめ、覚悟を決めて電源を入れた。

立ち上がると直ぐにメールが届く。その数、十数件。
田中さんと畠山さん、黒田さんからの体調を案じるメールと千佳ちゃんからのクリスマスの予定を確認するメール。あとは携帯会社からの電源が入っていない間の着信を知らせるメール。
千佳ちゃんが1件、後は全部斎藤さんから。
日付を越えた辺りに3件、本人からのメールを挟んで朝2件、昼時に3件。
夜中のメールには
『何かあった?
大丈夫?
連絡出来る?』
それ、だけ……

じわじわと涙が浮かんで、ギュッと携帯を握り締めた。

お昼、ランチの時間に電話くれてる。今、忙しいのに私の休憩時間に合わせて掛けてくれたんだ……

たったそれだけの事がすごく嬉しい。

私の事を心配してもらえてる。そう思っても良いよね?

あの女の人の言ってた事は、本当じゃない……
私は、斎藤さんを信じても良いよね?

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