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甘く、深く、繋がって
第13章 苦い惑い
絡められた腕を容赦なく振りほどいた。
「それが、ストーカーだろ?」
「何でよ?愛しあったじゃない」
懲りずに絡み付いて来る細い指。
気持ち悪い。
「ホントしつこいな。愛なんかない。何年前の話だよ」
「昨日の事の様に思い出せるわ」
熱っぽい物言いにゾッとする。
「これ以上付き纏うと本当に警察呼ぶぞ?」
睨むと言うより侮蔑を込めて見返しても、みゆきは笑みを浮かべたまま。むしろ自ら発したさっきの言葉に何やら想像しているらしく、うっとりと艶を増していく。

コイツ本気でイカレてる
真純、避難させた方が良いな……

黙っている隙にレジを済ませ、コンビニを後にした。
家へは向かわず、駅の方へ歩きだす。
「ねぇ、待ってよ。どこ行くの?」
数分と経たずみゆきが追い掛けて来た。
「駅前の派出所」
「……どうしてよ」
さすがにみゆきの表情が不満げに変わる。
「お前迷惑だから」
「信じてもらえる訳ないじゃない」

まぁそうだろう。
事件がなければ警察は簡単に動けない。しかも、みゆきは見てくれだけはオトコ好みに整った女。下手すれば厭味を言われて追い出されかねない。
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