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甘く、深く、繋がって
第17章 仕置き
その名を口に出来なくて黙り込む。でもすぐ
「黒田?」
静かな声で確認されて、反射的に斎藤さんを見上げた。私の反応に斎藤さんの右眉が少し上がる。
「あの男とまた、何かあった?」
怒られても仕方ない。
嫌だと思ったし、抵抗しなかった訳じゃない。でも唇は奪われ、肌を触られ、あまつさえそうと気付かれてしまう程淫らに反応したのは紛れもなく、私の身体。
「あ……の……」
声が震える。
温かいマグカップを持ってるはずなのに、指先が冷たい。
「何されたの?」
真っ直ぐに私を見つめる眼差し。怖いと思うのは、私に後ろめたい気持ちがある……から。
「キ……キ、ス……されて」
その言葉に斎藤さんがギリッと奥歯を噛み締めたのが分かった。
「……うん。それから?」
促してくる穏やかな声。身体が縮こまる。
「かっ……からだ……」
自分の愚かさが情けなくて、そこから言葉を紡げない。

言いたくない……
でも、ダメ……
ちゃんと謝らなくちゃ

「身体、触られた?」
変わらない口調に、だからこそ切り込まれたような痛みを感じて息をのんだ。
否定出来ない私に斎藤さんが深くため息を吐く。少し留まってゆっくりと立ち上がった。
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