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甘く、深く、繋がって
第17章 仕置き
三度目の長いため息。
斎藤さんは閉ざした時と同じように、ゆっくりと瞼を開いた。瞳の奥に緋が揺らぐ。
その艶やかさに思わず腰が引けて
「……真純」
伸びてきた腕に絡み付くように抱き寄せられた。コックコートからキッチンの匂いがする。
押し付けられた耳に聞こえる、少し早い斎藤さんの心臓の音。
「当然でしょ」
擦れた声が降ってきた。
「真純は俺の。誰にも……触らせたく、ない」
それは言われている私が苦しくなるほどに切ない響きで、直接的な言葉で責められるより心が痛んだ。
「ごめんなさい……」
瞬間、斎藤さんの腕に力がこもる。
「……どう、すれば良い?」

どう?

「どうすれば、真純は俺だけのものになるの?」

密着した身体に響く切実な声。息をするのも苦しい程に抱き締められて、クラクラする。

間を隔てる服が、身体が煩わしい。

私と斎藤さんと、解け合う事が出来たら良いのに。
私の気持ちが常に斎藤さんの傍に居られたら良いのに。

もっと斎藤さんの近くにいたい。 

自然、縋る手に力が入った。
「真純……」
擦れたままの斎藤さんのテノール。
「好き、です」
「……うん」
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