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甘く、深く、繋がって
第4章 水族館
「ぅっわっ!どうした?」
驚いた彼が振り返る。咄嗟に右手も差し出してくれたけど、私は膝から転んでしまった。
「大丈夫!?」
繋いだ右手はそのままに、斎藤さんが私の前に腰を落としてくれる。

坂になってるとはいえ、何もない所で転ぶなんて、恥ずかしい。私、斎藤さんの前で転んでばっかり。

「だっだいじょうぶ、です」
そう応えたものの、強打した左膝の痛みに涙が滲む。
「どこ痛い?」
顔に掛かる髪を斎藤さんが右手で梳いて頬に触れた。
「見せて?」
必然的に至近距離に迫るシンメトリー。目が合って、息を飲む。
心配そうに私を見つめる薄茶の瞳。

あぁ、吸い込まれる……

「……すみちゃん?」

首を傾げられたけど、そのまま見惚れていたらふぅっと眼差しが甘くなった。
スイッと近づいてきた瞳。見つめ合ったまま唇が重なる。

「あっ」

一気に我に返って上体を起こした。
水槽のない区間だから人は少ない。でも、こんな場所でキスするなんて……
そう思うのに自分から離した唇が寂しい。

「ホント隙だらけ」
まだ目の前の近さでクスリと嬉しそうに笑われた。
弧を描く目に懲りずに見惚れてしまう私。
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