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甘く、深く、繋がって
第18章 真純と千佳と
「真純現場に出始めた頃、かな」
あ……思い出した。
何回か電話もらってた。分かんない事ばっかりで、毎日畠山さんに怒られて、すごく辛かったから夜遅くにかけ直していっぱい愚痴聞いてもらったよね……
「それで電話くれてたの?」
「んー。忙しそうだったから、誘えなくて一人で来てたけど」
ふっと笑って桐生さんを見上げる。
「あ、桐生さん?」
「やっちっ違うよ」
慌てて否定して顔が熱い。
桐生さんが小さく首を傾げた。黙ったままじっと私を見て、にこりと微笑む。
「後程ご挨拶に伺うようにお伝え致しましょうか?」
「だっだい」
断ろうとして、すいっと伸びてきた千佳ちゃんの手に口を塞がれた。
「お願いします」
えぇっと……
「畏(かしこ)まりました」
笑顔のまま一礼して、改めて飲み物のメニューを差し出された。
「何かお薦めはありますか?」
「本日のコースにはこちらを……」
千佳ちゃんと桐生さんのやり取りを聞きながら視線を上げて、こっちを向いていた斎藤さんと目が合った。何となく感じた違和感に、思わず瞬きをした時にはふうっと目尻が下がった。柔らかな笑顔。
『いらっしゃい』
多分そう動いた口。頬が熱くなる。
あ……思い出した。
何回か電話もらってた。分かんない事ばっかりで、毎日畠山さんに怒られて、すごく辛かったから夜遅くにかけ直していっぱい愚痴聞いてもらったよね……
「それで電話くれてたの?」
「んー。忙しそうだったから、誘えなくて一人で来てたけど」
ふっと笑って桐生さんを見上げる。
「あ、桐生さん?」
「やっちっ違うよ」
慌てて否定して顔が熱い。
桐生さんが小さく首を傾げた。黙ったままじっと私を見て、にこりと微笑む。
「後程ご挨拶に伺うようにお伝え致しましょうか?」
「だっだい」
断ろうとして、すいっと伸びてきた千佳ちゃんの手に口を塞がれた。
「お願いします」
えぇっと……
「畏(かしこ)まりました」
笑顔のまま一礼して、改めて飲み物のメニューを差し出された。
「何かお薦めはありますか?」
「本日のコースにはこちらを……」
千佳ちゃんと桐生さんのやり取りを聞きながら視線を上げて、こっちを向いていた斎藤さんと目が合った。何となく感じた違和感に、思わず瞬きをした時にはふうっと目尻が下がった。柔らかな笑顔。
『いらっしゃい』
多分そう動いた口。頬が熱くなる。