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甘く、深く、繋がって
第18章 真純と千佳と
耳を疑った。突き刺さんばかりに鋭い目で俺を見上げ
「被害者は、真純」
もう一度繰り返された。
「……」
あまりの衝撃に目眩がする。胃腑の辺りが不快に疼いて、思わず眉をひそめた。
口角の下がった俺を見て小さくため息を吐く。
「話はそれだけ。……じゃ、今日は私が連れて帰るから」
そのまま踵を返されそうになり、急いで彼女の肩を掴んだ。
「ちょっと待て」
「何?」
俺を見返す冷たい視線。
「どういう事?」
「どうもこうも、そのまんま。監禁されてたの、真純」
聞きたいのはソレじゃない。
でも淡々とした口調とその瞳に宿った陰に、事実なのだと突き付けられた。
「気付いた時にはすでに携帯を解約されていて、そこから三ヶ月……」
深く落ちていく闇に彼女もその件で傷を負っているのだと察せられはした。が……
「お前さ……俺にそれを伝えてどうしたい訳?」
「……」
「真純の傷を無駄に深くするって分かんねぇの?」
ジリジリと胸を焼く憤り。

……あの事件は監禁だけじゃなく、強姦でも実刑が下ったはず。
そんな辛い記憶を掘り起こして、恐らくは一番知られたくないだろう俺にわざわざ伝えるとか、あり得ない。意味不明。
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