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甘く、深く、繋がって
第19章 決心
「何」
飛び掛かられないように籠でけん制して距離を取る。それでも漂ってくる甘ったるい香り。
「会いたかった」
「……奇遇だな。俺も同じ事思ってた」
右だけ口角を引き上げた俺に、一瞬戸惑うように眉をひそめ、直ぐに笑顔を取り繕う。
「じゃあ何でこの前途中で帰ったのよ?」
「言わない」
タイミングよく順番が来たレジを済ませて外に出た。
「今から飲むの?」
「お前に関係ない」
振り向きもせず、近くの公園へ向かう。
「拓真の家には上げてくれないの?」
「上げない」
どんなに冷めた目で見ようとも、みゆきの態度は変わらない。
「せっかく良いこと教えてあげようと思ったのに」
「外で十分」
言い捨てて歩き続ける、その腕を捕まれた。
「愛奴監禁」
みゆきの口から溢れて来たのは、先ほど思い出したスポーツ紙の下劣な見出し。怒りで足が止まる。
「家の方が良いんじゃない?」
「……それが、どうした」
上から睨み付けると、みゆきの顔が僅かに怯んだ。
「ここで、良いの?」
ちょうど公園の入り口。当然こんな時間に誰もいない。
「お前を家に上げる気はない」
引き止めるみゆきの手を払いのけ、奥へと進んだ。
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