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甘く、深く、繋がって
第20章 そばに、いる
ゆっくりと踵を返した黒田さんは振り返る事なく出て行った。足音が遠ざかり、少しして下へ向かうエレベーターの到着を案内する音が僅かに聞こえる。
その後はフロアの東端にある自動販売機のモーター音が聞こえるほどの静寂。足から力が抜け、その場に落ちる様に座り込んだ。
怖かった……
大きく深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
良かった。
帰ってくれた。
やっとホッとする。じわりと景色が滲んだ。
逢いたい……
斎藤さんに、逢いたいよ
島崎さんの案件がなければ、一人で残業する事も黒田さんに会う事もなく、今頃『グラン・ブルー』で斎藤さんの働いてる所を見ていられてるのに……
なんて、島崎さんに八つ当たり。
気を取り直して立ち上がる。デスクに戻ろうとして、せわしない足音と共に
「大丈夫か!真純!」
畠山さんが駆け込んできた。
その必死な顔付きにじわりとまた涙が滲む。
みんなに心配かけてしまってる……
「あんの野郎」
一瞬その瞳に怒りの炎を立ち上らせて振り返り
「……何された?」
心配そうに私を見つめる。あまり近付いて来ないのは、怖がらせないため?
「大丈夫です」
首を左右に振って笑ってみせた。
その後はフロアの東端にある自動販売機のモーター音が聞こえるほどの静寂。足から力が抜け、その場に落ちる様に座り込んだ。
怖かった……
大きく深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
良かった。
帰ってくれた。
やっとホッとする。じわりと景色が滲んだ。
逢いたい……
斎藤さんに、逢いたいよ
島崎さんの案件がなければ、一人で残業する事も黒田さんに会う事もなく、今頃『グラン・ブルー』で斎藤さんの働いてる所を見ていられてるのに……
なんて、島崎さんに八つ当たり。
気を取り直して立ち上がる。デスクに戻ろうとして、せわしない足音と共に
「大丈夫か!真純!」
畠山さんが駆け込んできた。
その必死な顔付きにじわりとまた涙が滲む。
みんなに心配かけてしまってる……
「あんの野郎」
一瞬その瞳に怒りの炎を立ち上らせて振り返り
「……何された?」
心配そうに私を見つめる。あまり近付いて来ないのは、怖がらせないため?
「大丈夫です」
首を左右に振って笑ってみせた。