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甘く、深く、繋がって
第20章 そばに、いる
「珍しくお飲みのようですが、大丈夫ですか?」
傾げられた顔が少し曇った。
社会人にもなって飲み過ぎを心配されるなんて、恥ずかしい。
「だ、大丈夫です」
慌てて手を振って俯いた。
「でも、もうお酒は止めておきます」
付け加えた言葉に桐生さんがクスリと笑う。
「その方が良さそうですね」
「……はい」
少し近付いて
「今日、タクの上がり待てそうですか?」
コソリと聞かれ、トクンと心臓が跳ねる。
「……その事、なんですけど……」
「ええ」
穏やかな笑みを浮かべた桐生さんをじっと見上げた。

実はクリスマスディナーの日以降、なかなか機会がなくて斎藤さんと話せていない。今日の参加も昨日になってメールで伝えただけだった。
千佳ちゃんは大丈夫って言ってくれるし、今日お店で会えるの喜んでくれたけど、やっぱり少し緊張する。
「……あの、そろそろ終電なので、先に上がらせてもらおうと思うんですけど……」
その先を言い迷う。桐生さんがふわりと笑った。
「タクシーで裏から戻ってきますか?」
口に出来なかった頼みを言い当てられた。桐生さんは当然の様にサラリと言って私を見てる。
「……良い、ですか?」
「もちろんですよ」
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