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甘く、深く、繋がって
第20章 そばに、いる
斎藤さんはフッと右の口角だけを上げて微笑んで踵を返した。その背中から目が離せない。キッチンの方へ入っても、私は動けないまま。
「こんな状態であの中には返せませんね……」
目の前で桐生さんが小さく呟いた。そっと回された腕に背中を押され、連れていかれたのはバックヤード。
「どなたなら話しても良いですか?」
首を傾げられて
話す?
思考が追い付かない。何の事か考えてしまった。
「あ、田中さんには話す予定です」
ようやく理解した私に桐生さんがふふっと笑う。
「分かりました。では彼女を連れてきます。説明は私に合わせて下さいね」
「はい」
見上げた私に笑顔で頷いて桐生さんが出ていった。
一人残されて、思い返すのはつい先程の斎藤さんの甘い笑み。
千佳ちゃんから啓太との話を聞いたはずなのに、変わらない。むしろ前より私を思ってくれている様にさえ感じられて……
どうしよう……すごく、嬉しい。
どう、したら良い?
答えを見付ける間もなくドアがトントンとノックされる。桐生さんが田中さんを連れて戻ってきた。
「真純ちゃん大丈夫?」
「こんな状態であの中には返せませんね……」
目の前で桐生さんが小さく呟いた。そっと回された腕に背中を押され、連れていかれたのはバックヤード。
「どなたなら話しても良いですか?」
首を傾げられて
話す?
思考が追い付かない。何の事か考えてしまった。
「あ、田中さんには話す予定です」
ようやく理解した私に桐生さんがふふっと笑う。
「分かりました。では彼女を連れてきます。説明は私に合わせて下さいね」
「はい」
見上げた私に笑顔で頷いて桐生さんが出ていった。
一人残されて、思い返すのはつい先程の斎藤さんの甘い笑み。
千佳ちゃんから啓太との話を聞いたはずなのに、変わらない。むしろ前より私を思ってくれている様にさえ感じられて……
どうしよう……すごく、嬉しい。
どう、したら良い?
答えを見付ける間もなくドアがトントンとノックされる。桐生さんが田中さんを連れて戻ってきた。
「真純ちゃん大丈夫?」