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甘く、深く、繋がって
第20章 そばに、いる
「もう少し、河合をこちらで休ませて頂いてもよろしいでしょうか?」
「えぇ、私共は構いませんが、会社の方(かた)は……」
穏やかに頷いて桐生さんが逆に問い返す。
「大丈夫です。部長には一緒に帰ると伝えてきました。ここにいる事を伝えると押し掛けてご迷惑を掛けてしまいますので、一緒に帰った事にさせて下さい」
田中さんに良いよね?と目で確認されて、黙ったまま小さく頷いた。
「かしこまりました」
桐生さんの穏やかな笑み。ホッとしたように田中さんも微笑んで
「よろしくお願いします」
私も一緒に頭を下げた。
タクシーが来るまでの間、田中さんと話して過ごした。主に話すのは田中さんで、お子さんの事や旦那さんの事、具合が悪い(事になってる)私を気遣いながら話してくれる微笑ましい家族の話にほわりと心が温まる。
お母さん、か……
私の中にある母の記憶。それは壮ちゃんとはるちゃんの中学の卒業式が最後。綺麗なワンピースを着て、そっぽを向いた壮ちゃんと涙目で笑うはるちゃんの間で笑ってる。
私は多分父の腕の中。ちょっとだけおめかしをしていたような気がする。
「えぇ、私共は構いませんが、会社の方(かた)は……」
穏やかに頷いて桐生さんが逆に問い返す。
「大丈夫です。部長には一緒に帰ると伝えてきました。ここにいる事を伝えると押し掛けてご迷惑を掛けてしまいますので、一緒に帰った事にさせて下さい」
田中さんに良いよね?と目で確認されて、黙ったまま小さく頷いた。
「かしこまりました」
桐生さんの穏やかな笑み。ホッとしたように田中さんも微笑んで
「よろしくお願いします」
私も一緒に頭を下げた。
タクシーが来るまでの間、田中さんと話して過ごした。主に話すのは田中さんで、お子さんの事や旦那さんの事、具合が悪い(事になってる)私を気遣いながら話してくれる微笑ましい家族の話にほわりと心が温まる。
お母さん、か……
私の中にある母の記憶。それは壮ちゃんとはるちゃんの中学の卒業式が最後。綺麗なワンピースを着て、そっぽを向いた壮ちゃんと涙目で笑うはるちゃんの間で笑ってる。
私は多分父の腕の中。ちょっとだけおめかしをしていたような気がする。