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甘く、深く、繋がって
第20章 そばに、いる
ゆっくりと立ち上がる。足元のおぼつかない真純を支え、抱き抱えるようにして寝室へ向かった。

そっと抱き上げてベッドの奥に座らせる。向かい合わせて腰を下ろし、真純を間に挟むように脚を投げ出した。両脇に手を着いて身体を寄せる。左手で頭を抱き寄せ、額に柔く口付けた。
「寝る前に、少しだけ話せる?」
「……はい」
また硬くなる声音。
安心させたくて額を重ねて肩を抱く。
「年末年始、」
「……はい」
「予定ある?」
少しの間黙り込み、やがてゆるゆると頭が左右に揺れる。一緒になって揺れた後
「実家には帰らないの?」
ごく普通に聞いた。真純の気持ちを逸らしたかったのと、予定を知りたかったのと……
今も倒れた時も身を寄せているのは姉の家。実家は遠方にあるのだと思っていた。だから長期休みには帰るだろう?
でも、返ってきたのは予想もしない答えだった。
「実家は、ないんです」
「……ない、の?」

ご両親共に、他界されてるのか?
姉とは十歳違いだと言っていた。遅くに産まれたとしても、まだ六十代だろう。
何か特殊な事情でもある、のか?

一瞬で頭を巡る疑問。
額を離して覗き込んだ俺に、真純が小さく頷いた。
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