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甘く、深く、繋がって
第20章 そばに、いる
「ないんです」
揺れる瞳が俺を見上げて、落ちる。
脳裏を過る、千佳の言葉。
『真純は……育ちに色々あって自己肯定感が低いんだよね』
それは真純に実家がないという事?
掛ける言葉に迷っていると、真純が柔らかく微笑んで俺に視線を戻した。
「幼い時に、両親を事故で亡くしたんです。あまり詳しく覚えてないんですけど…… それからは親戚の家に色々お世話になってて」
そう話す真純の顔の笑みは変わらないのに、何故か泣きそうにも見えて……
真純の『色々』は世話をしてもらった事になのか、世話になった親戚の数なのか。前者ならば普通の表現が、後者ならばたらい回しにされたのかと勘ぐってしまう。
それは千佳の言い様からして、おそらくは……
「実家、と言って良いのか分かりません」
続いた言葉と眉を下げても笑みを浮かべたままの真純に。
……後者、か
確信する。
思わず奥歯を噛み締めていた。
自己肯定感が低いのは、真純に愛されて育った実感が少ないのかもしれない。
「真純」
後頭部に手を滑らせ、包むように抱き寄せた。
「偉いな。よく頑張った」
揺れる瞳が俺を見上げて、落ちる。
脳裏を過る、千佳の言葉。
『真純は……育ちに色々あって自己肯定感が低いんだよね』
それは真純に実家がないという事?
掛ける言葉に迷っていると、真純が柔らかく微笑んで俺に視線を戻した。
「幼い時に、両親を事故で亡くしたんです。あまり詳しく覚えてないんですけど…… それからは親戚の家に色々お世話になってて」
そう話す真純の顔の笑みは変わらないのに、何故か泣きそうにも見えて……
真純の『色々』は世話をしてもらった事になのか、世話になった親戚の数なのか。前者ならば普通の表現が、後者ならばたらい回しにされたのかと勘ぐってしまう。
それは千佳の言い様からして、おそらくは……
「実家、と言って良いのか分かりません」
続いた言葉と眉を下げても笑みを浮かべたままの真純に。
……後者、か
確信する。
思わず奥歯を噛み締めていた。
自己肯定感が低いのは、真純に愛されて育った実感が少ないのかもしれない。
「真純」
後頭部に手を滑らせ、包むように抱き寄せた。
「偉いな。よく頑張った」