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甘く、深く、繋がって
第5章 燻るモノ
黒田さんの明るい声に、微妙に居心地の悪かった空気が払拭される。
「オレもそれにしようかな」
「美味しそうですよね」
ほっとして振り向いて、顔を上げた彼と目が合った。ニッと人好きのする笑顔につられて私も笑顔になる。
じんわりと気持ちが和んだ。

黒田さんとは歳が近くて、確か三つか四つしか変わらない。技術さんの中では一番若いけど、彼の技術と現場での対応能力はずば抜けている。だからつい島崎さんの案件をお願いしてしまうのだけど……こうして一緒にランチに来たのは初めてかもしれない。
「ウニねぇ、俺もそれにしようかな」
正面の畠山さんに
「私もそうするか」
山下さんも同調して、全員ウニのパスタを頼む事に。
オーダーを取りに来たウェイターさんは爽やかな笑顔で注文を繰り返して戻っていった。
その背中を見ていると震えた携帯。短い震え方はメールの着信。
何気なくカバンの中でスライドさせて

『いらっしゃい。
今日も可愛いね』

うっ……

慌てて携帯をカバンの奥に突っ込んだ。顔が熱くなってくる。
俯いてやり過ごそうと思っていたけど
「どうしたの?」
黒田さんが声を掛けてきた。
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