この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘く、深く、繋がって
第21章 伝わる心
斎藤さんがふっと笑う。
「お礼を言うのは俺の方だよ」
一度言葉を切って
「俺さ、人を好きになるとか、その人の笑顔だけで自分も満たされるとか、そんな単純で大切な事をずっと失念してたんだ」
自嘲するように話を続ける。
「結構酷い事もしてきた」
やっぱり斎藤さんの言葉、なのかな……
「でも、真純と再会して人を愛しく思う気持ちを思い出せた」
斎藤さんが手にした右手の指先にチュッと口付ける。
また、再会って……
胸がギュッとなった。不安に鼓動が早くなる。
斎藤さんは私の右手を口元に寄せたまま
「だから、すごく感謝してる」
ふわりと微笑んだ。優しい笑顔。それなのに、落ち着かない。
じっと私を見つめた斎藤さんに
「……どうしたの?」
小さく首を傾げられた。
気付いてくれた……
その事にホッとして、でも胸が詰まる。
「あ、の……」
「うん」
「さ、再会って……」
言葉がそれ以上続かない。
「あぁ。そうだね……気になる?」
「……はい」
見上げる斎藤さんの笑顔は変わらない。
緋を纏っていたはずの瞳も今は、優しい。
「お礼を言うのは俺の方だよ」
一度言葉を切って
「俺さ、人を好きになるとか、その人の笑顔だけで自分も満たされるとか、そんな単純で大切な事をずっと失念してたんだ」
自嘲するように話を続ける。
「結構酷い事もしてきた」
やっぱり斎藤さんの言葉、なのかな……
「でも、真純と再会して人を愛しく思う気持ちを思い出せた」
斎藤さんが手にした右手の指先にチュッと口付ける。
また、再会って……
胸がギュッとなった。不安に鼓動が早くなる。
斎藤さんは私の右手を口元に寄せたまま
「だから、すごく感謝してる」
ふわりと微笑んだ。優しい笑顔。それなのに、落ち着かない。
じっと私を見つめた斎藤さんに
「……どうしたの?」
小さく首を傾げられた。
気付いてくれた……
その事にホッとして、でも胸が詰まる。
「あ、の……」
「うん」
「さ、再会って……」
言葉がそれ以上続かない。
「あぁ。そうだね……気になる?」
「……はい」
見上げる斎藤さんの笑顔は変わらない。
緋を纏っていたはずの瞳も今は、優しい。