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甘く、深く、繋がって
第21章 伝わる心
何となくだけど、S市の伯母さんの家から幼稚園に通った覚えはある。だから時期的には合ってると思う。でも、伯母さんの家の近くに公園があったかな……
考えてもそれは思い出せなくて、必然少し眉が寄る。
そんな私に斎藤さんは
「今から十五年以上前の話だし、真純は多分ご両親が亡くなった前後だろう?」
変わらない口調で聞いてきた。
「……はい。多分亡くなって一年経つか経たないか位の頃だと思います」
「うん。そしたら尚更覚えてなくても仕方ないよ」
私に向けられているのは優しい眼差し。
「俺はさ……あの後『マスミちゃん』に会いに何十回となく通ったし、しばらくは通りかかるとつい公園の中を抜けて探してたから……」
「っ!」
たった数時間遊んだだけの私を、探してくれてたの?
思い出せない事が申し訳なくて、もどかしくて、泣きたくなった。
「完全に諦めたのは中学に上がってからかな。その後は色々あって忘れてた」
ふっと笑った斎藤さんが私の膝を割って間を詰めてくる。両膝を立て、斎藤さんの身体を挟むような体勢にされて、恥ずかしさから腰が引ける。でもすかさず伸びてきた左手に逃げられないよう、抱え込まれてしまった。
考えてもそれは思い出せなくて、必然少し眉が寄る。
そんな私に斎藤さんは
「今から十五年以上前の話だし、真純は多分ご両親が亡くなった前後だろう?」
変わらない口調で聞いてきた。
「……はい。多分亡くなって一年経つか経たないか位の頃だと思います」
「うん。そしたら尚更覚えてなくても仕方ないよ」
私に向けられているのは優しい眼差し。
「俺はさ……あの後『マスミちゃん』に会いに何十回となく通ったし、しばらくは通りかかるとつい公園の中を抜けて探してたから……」
「っ!」
たった数時間遊んだだけの私を、探してくれてたの?
思い出せない事が申し訳なくて、もどかしくて、泣きたくなった。
「完全に諦めたのは中学に上がってからかな。その後は色々あって忘れてた」
ふっと笑った斎藤さんが私の膝を割って間を詰めてくる。両膝を立て、斎藤さんの身体を挟むような体勢にされて、恥ずかしさから腰が引ける。でもすかさず伸びてきた左手に逃げられないよう、抱え込まれてしまった。