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甘く、深く、繋がって
第21章 伝わる心
「真純に会った時、何となく既視感があって……でもその時は何故そう感じたのか分からなかった。水族館で転んだ真純を見て、突然思い出したんだ」
ニコリと口角を引き上げて、斎藤さんが右手で私の頬を包む。その親指が目尻をそっと撫でた。
弧を描く様に少し細められた目。
「凄いドキドキした。めちゃくちゃ嬉しかった」
「…………」
優しく温かい笑顔にギュッと胸が苦しくなった。

その記憶の『ますみちゃん』は……本当に私、ですか?

何度も探したくなって、こんなに再会を喜んでもらえるような『出会い』だったはずなのに……やっぱり私は思い出せなくて。
考えれば考えるほど人違いに思えてくる。

確認、しなくちゃ……

大事な事だと分かるのに、聞くのが怖い。

人違いだって分かってしまったら?

…………

それでも斎藤さんは私に笑い掛けてくれますか?
……私を好きで、いてくれますか?

聞かなくちゃ……

思えば思うほど、気持ちが沈む。
また目尻をそっと撫でられた。
「真純」
柔らかなテノールが私の名前をなぞる。それだけで泣いてしまいそう。

斎藤さんと……離れたくない、よ……
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