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甘く、深く、繋がって
第21章 伝わる心
小さく頷いた私に
「真純の所にも来たんだろ?ゴメン。俺のせいで嫌な思いさせて」
斎藤さんが頭を下げた。
「地元の、多分同期なんだ」

……多分?

曖昧な説明を不思議に思っていると
「同じ学校に通ったりした訳じゃないんだ。俺、高校の時結構遊んでて、顔しか知らない奴も大勢いた」
少しバツが悪そうに視線を反らす。
「アイツはその中の一人。携帯は教えてないし、こっちに来たのも話していない。今年の春、店が載った雑誌をたまたま見たらしく、突然訪ねて来られて。それ以降付きまとわれてる……真純と付き合う前に何とかするべきだった」
斎藤さんの言う『厄介な奴』が彼女だと確信して、でも名前以外知らない関係だった事に驚いた。

それなのに、雑誌を見てS市から斎藤さんを追い掛けて来たんだ……

その記事は私も読んだ。オフィス街にある美味しい店を特集した、トップに紹介されていた。残念ながら写真に斎藤さんが載っていたかは覚えてない。
『グラン・ブルー』はその前から利用してるけど、斎藤さんと知り合ったのはついこの前で。彼女からしたら、横取りされたように感じたのかも知れない。
だから『新しいもの好き』って……
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