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甘く、深く、繋がって
第21章 伝わる心
「真純」
斎藤さんが私を呼んだ。
反らした視線をキチンと合わせ
「アイツと俺の間に真純が引け目を感じたり、心配したりするような事は何もない」
「……」
「もちろん、これからも」
キッパリと言い切るその瞳に強い意思を感じさせられた。
「不快な思いや不安な気持ちにさせてゴメン」
もう一度頭を下げる。
ついさっき大丈夫だって、斎藤さんを信じてるって思ったのに。説明してもらえてホッとしてる自分がいる。

何もないって言ってくれた……

胸の奥に巣食っていた不安が溶けていく。
斎藤さんに言われて気が付いた。

私、斎藤さんの言葉が欲しかったんだ……

滲んだ景色が斎藤さんの胸に遮られる。
「辛い思いさせてゴメン」
繰り返し謝る斎藤さんに抱き締められていた。直接触れる肌が熱い。
恐る恐る背中に手を回す。
「は、話して下さって、ありがとうございます」
声が震えた。

思った以上にあの人の事が深いトゲになってたんだ……
大丈夫じゃ、なかった。
斎藤さんの過去を知るのが、怖かった……

でも、知って良かった。
何もないって言ってくれたし、何より斎藤さんが私を思ってくれてるのがすごく伝わってきた、から……
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